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ただ、普通があるだけ『マチルダとふたりのパパ』メル・エリオット

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LGBTの絵本が手軽に手に取れるようになった時代

昔は全然みかけませんでしたが、昨今はLGBTに関する絵本を見かけるようになりました。以前に公共施設にて『子供におすすめの本』というのが紹介されておりまして、そこで見かけて思わずこちらの本を読んだんですよね。

これが、なかなか良い本なんですよ。「みんな違って、みんないいよね!」とか「他人のことを認めてあげようね!」とか「人を傷つけちゃだめ!」みたいな道徳の教科書みたいな話ではなく、ほんとに身近で自然な内容の絵本なんです。

あらすじ

パールの学校に転校してきたマチルダはやんちゃで楽しい子。すぐに二人は仲良くなったけれど、ある日パールはおかしなことに気付く。お見送りに来ていたマチルダのお父さん、昨日と違う男の人だ!

感想

転校生の家庭が二人パパ家庭だったというお話ですね。マチルダからそのことを聞いたパールは、マチルダの家庭のことを「かっこいい!」と思うんです。何故かというと、パールはお父さんが大好きなんですね。わりとお父さんに甘やかされてるタイプの娘さんです。

だからそんなパパが二人もいるマチルダの家庭はとっても楽しくてわくわくするんじゃないかと期待します。微笑ましいですね。でも実際、パールがマチルダの家に遊びに行くと、普通でした。帰って来たパールはママに楽しかったか聞かれ、期待が外れたことを語ります。

しかし、それこそ、この絵本の良いところなのです。

世間一般には悪いイメージを見せなくなってきた同性カップルですが、逆に何か特別な素晴らしいことがあるとか、特別なものを与えてくれるとか、異性カップルにはない真実の愛が存在するとか、そういうファンタジーなことはありません。男女カップルと何ら変わらない、普通の家庭があるだけなのです。

腫物のように「あの人たちは守らなければならない」とか「変なことを言っちゃダメ」とか、そういう遠ざけるような教育ではなく、そもそも当たり前に存在しうる家庭の状態なのだ、異性カップルの家庭と何ら変わりないのだ、ということを自然に教えてくれる。それが絵本として幼少期に触れられるというのは、いい時代になったと思います。

なんか、漫画とかそういう媒体で同性カップルがファンスティックにきらきら表現されることによって世間に受け入れられてきた一方、過剰に夢を持たれることもある、という別の側面を優しく打ち消している気がして好きです。

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