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『プラダを着た悪魔』感想レビュー!地味で真面目な女の子がおしゃれ業界で転身!※ただし上司は鬼です。

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映画情報

邦題:プラダを着た悪魔
原題:The Devil Wears Prada
公開年及び国:アメリカ(2006年)
上映時間:110分
監督:デビッド・フランケル

<キャスト>
アンドレア(真面目な地味女子):アン・ハサウェイ
ミランダ(鬼上司):メリル・ストリープ
エミリー(直属の先輩):エミリー・ブラント
ナイジェル(デザイナー):スタンリー・トゥッチ
ネイト(アンドレの彼氏):エイドリアン・グレニアー
クリスチャン(ライバル社の色男):サイモン・ベイカー

<概要>
ジャーナリストとして成功を夢見るアンドレアは、自分の経歴に箔をつけたいがためにおしゃれファッション雑誌ランウェイの面接へ行く。おしゃれとは程遠いアンドレアを社員達は嘲笑したが、彼らですら恐れおののく偏屈な編集長ミランダは、なんとファッションとは無縁のアンドレアを採用したのである。

こんな人にはおすすめ!&おすすめしない!

<こんな人におすすめ>
・バリキャリ女子のストーリーが好き
・アン・ハサウェイが好き
・おしゃれな衣装をたくさん見たい

<こんな人にはおすすめしない>
・仲間にいじわるな人がいるのは苦手
・ブランド志向が好きじゃない
・全ての問題がエンディングまでに片付いて欲しい

評価

【個人的な評価】

ストーリー
★★★★☆☆☆☆☆☆

画面映え
★★★★★☆☆☆☆☆

ユニーク
★★★★★★☆☆☆☆

地味な女の子が華やかなバリキャリに大変身!で終わらないところがこの映画の良さ。いけ好かない同僚たちも、ただの意地悪ではありません。ストーリーとしてはありがちなので大どんでん返しとはいきませんが、主人公の葛藤がとても肌に感じられます。

【ネットでのおおよその評価】

・おしゃれで画面映えする!
・鬼上司ミランダがかっこいい!
・仕事や人生について考えた

・地味キャラを演じるアン・ハサウェイはそもそも美人なので、そりゃ可愛く変身するよね…
・ストーリーが納得いかない
・辛い境遇の従業員に共感してしまい、しんどい

懸命なアンドレアや強いミランダを好意的に見る人がいる一方で、しばしば攻撃的な場面に嫌な思いをする人も。ただ、勇気をもらった人や憧れる人が大多数なので、見慣れない世界や文化をどう見るか、ということが大事なのかもしれません。

あらすじ

ジャーナリストとしてのキャリアを目指すアンドレアは、自分の経歴に箔をつけたいがために興味もないおしゃれ雑誌の金字塔、ランウェイの面接へ。おしゃれとはかけ離れたアンドレアを社員達は意地悪く嘲笑いますが、なんとここのボスである編集長ミランダはアンドレアを採用します。

ところがこのミランダは仕事はできるものの、横暴で傍若無人な鬼上司。アンドレアも愛想を尽かしてしまい、先輩社員達のバリバリのブランド志向にも呆れるのですが、実はそこには単なる見栄ではない情熱があることを知ります。

ミランダの創った世界の価値に触れ、敬意を払うようになるアンドレアですが、ランウェイは厳しい世界。仕事がうまくいけばいくほど、一般的で平凡な幸せ、つまり私生活も友情も崩壊していくのです。勝ち取った信頼、輝き始めた仕事と愛する恋人の間で、アンドレアは悩み苦しむことになっていくのでした。

見どころ① とても失礼で、とても誇り高い職場

おしゃれ雑誌ランウェイのオフィスですが、当然社員は全員美意識が高く、おしゃれでスタイルも良くて、流行にも詳しい人ばかり。今まで真面目で地味だったアンドレアは面接の時点で鼻で笑われてしまいます。ミランダのオフィスは失礼で他人を見下す人が多く、外見の皮肉を本人の目の前で言うとかいうレベルです。(※実際のファッション関係の人たちは全員が全員そんなことはないと思います)

ところが実はアンドレアの方にも問題がありまして、彼女は業界の有名人ミランダのことは知らないし、ファッションに興味がないものですから「ここが落ちたら別の雑誌の面接に行~こう♪」とか思っていたくらいです。そもそも、ここにずっといるわけでもないので、悪口言われても別にいいんです。

そんなアンドレアに、デザイナーのナイジェルは「君は不満ばかりで努力してない」と突きつけるのです。社員達も失礼ですが、実はアンドレアだって失礼なのです。ここの社員達はみんなランウェイの信奉者であり、世界の美の流行を生み出す場所で働くことに誇りを持っています。

アンドレアが権力者のおしゃれ上司に何故か一目で気に入られ、ちやほやされながらおしゃれになっていくとかいうシンデレラストーリーではありませんし、おしゃれであるのはいいことだよねという美意識の押し付けでもありません。誰かが敬遠する世界は、誰かが大切にしている世界です。新しい場所に踏み入り、価値観を味わうことがこの映画のストーリーだと思います。

しかし、ランウェイで働く人々は人生をランウェイに捧げています。勝ち取る名声は大きなものとなりますが、ひっきりなしに鳴る仕事の電話がプライベートを食いつぶすのです。また、それだけではなく、ミランダに気に入られてのし上がるために、時には友達を蹴落とすことにもなります。私生活では愛を失い、職場では友情に亀裂が入る。それでもこの世界の美を創造するランウェイに魅了されてやまない人達が大勢います。

一見すると排他的で失礼極まりない職場ですが、流行を作り出す最先端ということは、おしゃれといういわば概念のようなものを全世界の人に納得させるという至難の業です。高い水準を求めている場所であるからこそ、自他共に厳しいともいえます。勿論、先述のとおりおしゃれ業界の全てがみんなあんなイヤミな感じではないと思いますよ!映画なので誇張されていると思いますので、そこは現実とは別という考えも必要です。

見どころ② 地味がいいとか、ブランドがいいとかいう話ではない

ミランダには、こんなセリフがあります。「あなたは自分のことを、着る服なんて気に留めない、真面目な人間だと言いたいのね?」。これはデザイナーをバカにして笑ったアンドレアへの皮肉です。昔っから「派手な子より真面目で地味な子が結局いいよ」という考えがあると思うのですが、そういう話ではないんですよね。この映画はどちらがいいと白黒をつけているわけではありません。ただ単に、価値観のグループが違うだけの話なんです。

アンドレアは最初、地味で真面目なグループにいました。しかしランウェイの価値や誇りを知ることで考えが変わっていきます。この両者の間をアンドレアが行き来することによって、両者の素晴らしい一面も、嫌な一面も見えるのです。

アンドレアの彼がいる友人のグループでは、仕事は家賃稼ぎであり、プライベートが大事だという価値観があります。そのため最初は垢抜けたアンドレアを褒めてくれたのですが、アンドレアが仕事にかまけるとプライベートを犠牲にする彼女を不誠実だと評するようになります。

一方、ランウェイの人達は初期のアンドレアの恰好がダサいと見下し、バカにします。何故なら彼らは家族も恋人も犠牲にして仕事に打ち込み、人生をランウェイに捧げていますから、その仕事に「ふさわしい」恰好ができないアンドレアのことを不真面目だと思うのです。

アンドレアは物語が進むほどランウェイに傾倒していきます。それは友人達から見れば洗脳であり、ミランダ達から見れば頼もしい成長です。真面目であるアンドレアは「仕事だから仕方のないことだから」と成り行きに従って懸命に仕事をし、結果ランウェイで生きることの光と闇を見ます。しかし、最終的には自分がどう生きていくか、は自分で決定しなれけばならないのです。

見どころ③ 皆に恐れられ、愛されるミランダの表裏

ランウェイの編集長であるミランダは、アンドレアの直属の上司であり、そして横暴なボスです。世界トップクラスのモデルにすら文句たらたら、秘書の名前は覚えない、質問には答えず、ちょっとしたことで部下をクビにします。ですが、彼女の一言で30万ドルの損失が生まれる大物でもあります。

アンドレアもあまりの傍若無人ぶりに怒り狂っていましたが、実はミランダにも人らしい弱みがあります。ミランダは家庭に問題を抱えており、夫とは不仲、家にはなかなか戻れず、子供の世話は秘書にまで回る始末でした。娘達を愛していますが、子供達のワガママを権力とお金で叶えることで愛情を示しています。

今まで何度も離婚スキャンダルが起きており、その度にゴシップに騒がれるわけですが、実は本人は「バリキャリの育児放棄」と言われても平気です。ただ、ゴシップが出る度に子供達は「かわいそう」と大々的に記事に書かれてしまい、見知らぬ全世界の他人から「かわいそう」と思われてしまいます。娘のことについてはつい弱音を吐いてしまうほど、ミランダは辟易しているのです。ランウェイで働けば家庭が崩壊する、しかしランウェイを辞めれば自分の築き上げた栄光、生きる意味が失われてしまいます。

離婚する度に仕事ばかりの悪女と言われるミランダですが、実は「男性なら有能といわれるはず」とアンドレアは言います。家庭を放っていても、お父さんなら「仕事だから仕方ないよね」と言われるし、離婚してもゴシップで「仕事ばかりする悪者」みたいな言い方はされないのです。2006年の映画ですから、今よりもずっと男性の育児に対する理解が低かったでしょうし。

ミランダは家庭の平穏よりも仕事を選んだわけですが、終盤のミランダとアンドレアの最後の会話シーン、苦悩を押し潰した決意に満ちたミランダの台詞はかっこいいですよ。

感想

見る前は、地味で真面目な女の子がトラブルに巻き込まれながらおしゃれエリートになっていく!というサクセスストーリーかと思っていたのですが、違いました。こういう変身する系のストーリーって、対立する価値観のどちらか(ここでは地味VSおしゃれ)が悪いというスタンスで語られることが多いと思うんですが、そうではなくてその間のグラデ―ションを主人公のアンドレアが行き来することで明暗を見せていると思いました。どっちも悪くないんです。ただ、本人の選択の問題なんですよね。アンドレアは最後には自分の意志で生きる道を決めましたし、ミランダはとっくにそうしている先輩なんです。

そしてめちゃ意地悪な、人の外見の悪口を言うとかいう典型的な嫌な奴が出てくるのに、おしゃれでバリキャリになった地味女子に下剋上されて撃退されるとかいう話ではないんですね。その人たちの価値観に触れて、理解して友人になっていくんです。それがまたいいところだと思います。ただ一点言うなら、途中でアンドレアが火遊びに巻き込まれるんですが、あれいらなかった気がします。

あの火遊びはおそらくおしゃれな世界側の恋愛の描写なんだと思いますが、ランウェイの同僚達は恋する暇もなく、昼も夜もミランダからの電話をくらって仕事に人生を捧げているんです。誰もそんな火遊びをしている奴っていないんですよね。だからただ単にアンドレアに悪女属性がついただけに終わっている気がするんです。かつ、アンドレアは彼氏とラブラブしているシーンをたくさん見せられているんで、アンドレアの評価がただただ下がってしまうんです。

アンドレアはもともと友人や彼を大事にしていて、周囲の変化に傷付き、人を蹴落とすこともできず苦しむ子という葛藤があるのに、それを火遊びに踏み切る倫理観の無さで台無しにされた気がする…

また、この映画ですが「全ての問題が綺麗に片付き大団円じゃないと嫌」という人や、「ありきたりの流れが嫌い」という人にはあまり向かないかもしれません。流れとしては確かにありきたりなんですが、でも逆に言うと、すごいおしゃれで素敵なバリキャリに大変身しなくていいし、家庭や恋人を顧みて丸くなったバリキャリが家族と幸せに…ということもしなくていいというメッセージでもあると思います。

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