映画情報
邦題:すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ
原題:すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ
公開年及び国:日本(2019年)
上映時間:65分
監督:まんきゅう
<キャスト>
ナレーション:井ノ原快彦
ナレーション:本上まなみ
<概要>
すみっこで過ごすことが好きな「すみっコ」たち。ある時、いきつけの喫茶店の地下から怪しげな仕掛け絵本を見つけてしまう。吸い込まれた絵本の世界で出会った迷子の「ひよこ」のおうちを探して絵本を駆け巡ることになったのだが…
SNS等でも感動作だと話題になった、映画すみっコぐらしシリーズの第一弾。
こんな人にはおすすめ!&おすすめしない!
<こんな人におすすめ>
・すみっコぐらしが好き
・ほっこりするアニメが観たい
・たくさんキャラクターが登場するアニメが好き
・感動するアニメを観たい
・子供の情操教育にいいアニメを観せたい
<こんな人にはおすすめしない>
・ナレーションしかないアニメは苦手
・子供向けアニメに興味がない
・子供向け映画は切なさのない完全ハッピーエンドがいい
・いっぱいキャラクターが出てくるのは苦手
・アクションや戦いが観たい
評価
【個人的な評価】
ストーリー ★★★★★★☆☆☆☆
画面映え ★★★★★★☆☆☆☆
ユニーク ★★★★★★☆☆☆☆
子供向け映画ですが、「勧善懲悪」や「明るく元気」といった世間で「いい子」と言われる要素を押し付けない優しさがあります。また、二次元の絵本チックなかわいらしさとCGの美しさがマッチしており、視覚的にもわくわくしますよ!しかしやはり一番の魅力は、ご都合主義にならない世界観です。それが大人の感動をも誘うのかもしれません。
【ネットなどでのおおよその評判】
・大人でも泣いてしまった!
・優しい気持ちになれた
・映像が美しい
・あくまで子供向け。過度な期待は厳禁
・台詞のないナレーションスタイルが合わない
・繊細な子供にはショックかも…
などの意見があり、子供向け映画にも関わらず、「大人も楽しめる」と話題になってしまったが故に評価が分かれています。また、ちょっと切ないストーリーもありお子さんによっては悲しい気持ちが勝ってしまうことも…
あらすじ
すみっコぐらしはキャラクター数がかなり多いのですが、今回登場するのはねこ、とかげ、しろくま、ぺんぎん、とんかつ、えびフライのしっぽがメインのようです。ある日、平和に暮らしているすみっコたちが行きつけのカフェに行くと、店員さんのおばけが行方知れずとなります。
地下にある怪しい仕掛け絵本が原因であることは分かったものの、その中に皆も吸い込まれてしまいました。この絵本にはいくつかの童話が仕込まれていまして、ももたろう、マッチ売りの少女、人魚姫、赤ずきん、アラビアンナイトなどの世界観があるのですが、そのお話の登場人物としてすみっコが取り込まれてしまいます。
その中で迷子になっている灰色のひよこを見つけた一同は、この子のおうちである童話を探すことにしました。しかしどこにもそれらしい童話が見当たりません。
自由奔放でマイペースなすみっコたちは童話の通りの物語を演じることはなく、それどころか色んな童話を行き来して繋げてしまいますが、そうして全ての童話を網羅して探しても、やはりこのひよこのおうちはどこにもないのです…
みどころ① 美しく調和する、絵本とすみっコのグラフィック!
すみっコたちも勿論可愛いのですが、とにかく映像が美しいです!CGも駆使されたという本作では、すみっコ本来のイラストタッチと背景などに使われているCGがうまくマッチングしており、世界観を壊すことなく楽しませてくれます。人魚姫の海やアラビアンナイトの建物はとても美しいですよ!
本来が絵本っぽい外見のすみっコと絵本の世界をきれいに切り分けながらも、絵本の世界の純朴な美しさが保たれているので、ただ絵本を見ているという感覚ではないのがいいですね!
見どころ② 明るく前向きであることを押し付けない、素朴な優しさ
すみっコは個々がマイペースで好き勝手に行動しているようにも見えるのですが、仲間へのさりげない優しさを持っています。
一番印象に残ったのは、ひよこに「おうちある?」と聞いた時です。「ない」と返事が返ってきても「そっかあ」しか言いません。「きっと見つかるよ!」とか「あきらめないで!」みたいに変に元気付けたりしないところがむしろ優しさで溢れていると感じるのです。
見どころ③ 都合よく全てを丸く収めない線引き
さてこの絵本ですが、とある「ルール」が存在しています。このルールの存在が評価の是非を分けた感じがしますが、自分はご都合主義に走らないよいルールだと感じました。
絵本の中のものは、絵本の外に持ち出せないのです。
世の中の全てが都合のよいハッピーエンドではないということを、このファンシーなタッチでストーリー上無理なく子供の心に訴えかけることができる…ということを個人的にかなり評価しました。ただ、お子さんが観る場合はトラウマものになることもあるみたいなので、観せる年齢や時期は個々に調整した方が良さそうです。
感想 大人でも感動する理由とは
すみっコぐらしというキャラクターは知名度が高いので結構知られていること思いますが、そのキャラクター達の映画ですね(サンエックスのキャラはリラックマも映画になりましたね!)。圧倒的にすみっこに集まるのが微笑ましい。キャラクターが好きであれば、大人も子供も楽しめると思います。
ただ、最初にご注意していただきたいのが、ナレーションの存在です。すみっコたちには台詞がありません。正確に言うと、台詞の代わりにキャラクターの周辺に手書き字幕みたいなものが出ます。展開は全てナレーションが説明を行うのですが、時折すみっコの行動にツッコミをしたりするので、苦手な人は苦手かな、という印象があります。
この映画では色んな童話の世界が登場しますが、映像はとにかくきれいです!それがうまいことイラストタッチのすみっコに馴染んでいるのがいいですね。他の物語のページがぐちゃぐちゃになり、人魚姫の浜にダークソウルの薪の王の故郷みたいに全ての世界が集まってしまったところなんか、色彩豊かで楽しいですよ。
この映画、大人でも感動すると言われたのには二つくらい理由を感じました。
①「無理をしなくていい」という世界観が心癒されること
すみっコ暮らしのキャラクターは、なかなかに個性豊かです。自分に自信がなかったり、隠し事をしていたり、ひねくれものだったり、のんきだったり、ポジティブだったりと、ただの「かわいい」で終わらないところにどこか親近感を感じます。
自分に自信を持たないとならないとか、隠し事はよくないとか、性格は優しくないと駄目だとか、そういう一般的に声高に叫ばれる「いい子」ではなく、あえて「悩みなどを抱えて不完全な存在である」ことが疲れた現代人には身近に感じるのかもしれません。
↓キャラクター紹介ですが、実は実際にはもっとキャラクター多いです。
②ただの「ご都合主義」に終わらない…だけではない。
上記でこの絵本の世界にはしっかりと線引きがあり、「観客の希望である大団円」に終わらない子供向け映画であるところが魅力だと述べましたが、別にひねくれた展開を期待しているわけではありません。
世の中、全てが都合のいいハッピーな展開にはならないですから、その中でどうやって幸せになっていくかを考えることが大事です。だから、ひよこは赤ずきんだとか桃太郎だとか他の童話の住人のページに行ったとかではなく、自立した自分の世界を持ったということがいいエンディングに感じました。思い描くハッピーエンドではなかった→ならばどうするか、ということを教えてくれるのです。
ところで、この絵本にみんなで思い出を描きこむシーンがあります。「絵本に落書きしたら駄目」っていう一般的なしつけと反するのですが、その面でもこれはいい映画だと感じました。絵本というものに描きこみをすること自体が悪というか、「どういう理由で、何に描くのか」を意識することが大切なんじゃないかなと、個人的に思います。
例えば、お誕生日にもらった等の思い出を描きこみしたり、お気に入りのページへの思い入れとして何か描くことと、何でもいい落書き帳のかわりにしたり、ふざけてイタズラ描きするのとでは意味が違います。頭ごなしに「これに描くな」ではなく、子供が「どうして」「なぜ」そこに絵を描いたのか聞くべきであり教えるべきだと、大人が学ぶこともできると感じました。
コラム メインキャラではないけれど、おすすめのすみっコ
以下では鑑賞中に気になったちょっとしたネタなどをご紹介しています。
1.はずれぼう
2016年に出た新キャラ、はずれぼうです。先日、ぬいぐるみが出ましたが販売開始すぐに売り切れてしまいました。10本集まるとあたりになると信じて仲間を探しているそうです。可愛い…
2.あじふらいのしっぽ
実はメインキャラのえびふらいのしっぽの友達です。食べ残されたことを寂しく思うとんかつのはじっこやえびふらいのしっぽに対し、食べ残されてラッキー!と思っているところが可愛いですね。
3.ブラックたぴおか
たぴおか達は無邪気そうに群れているところが可愛く見えますが、実はひねくれ者です。そしてブラックたぴおかはその中でもさらにひねくれているとのこと。あの平穏な世界にそういう奴らがいる、というのがなんだか逆に微笑ましい。
Amazonプライムで見る
↓こちらからアマゾンプライムの該当ページに飛べます。
『すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』 関連グッズ
すみっコぐらしは知育グッズのみならずキッチン用品や文具類も多く、大人でもこっそり鞄に忍ばせられることができます。おすすめはたくさんあるのですが、中でも今回の『すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』関連のものを集めてみました。
すみっコぐらしはぬいぐるみが豊富なキャラですので、お気に入りを見つけたら是非調べてみてください。
『すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』は絵本にもなっているのですが、その他にもかなりいい絵本を見つけたのでご紹介。小学校くらいの子に向けた処世術の本なのですが、単に「みんな仲良く!」ではなく、苦手な子がいたり困った時には…なども書いている本です。
コメント